「経営事項審査」って?(その3~審査項目⑤~)

投稿日:2024年2月29日 | 最終更新日:2024年5月13日

こんにちは。行政書士の中居弘和です。
前回に引き続き経営事項審査についてご説明させていただきます。

~過去の関連記事~
「経営事項審査」って?(その3~審査項目①~)「審査項目について」
「経営事項審査」って?(その3~審査項目②~)「経営規模に関する評点(X1、X2)について」
「経営事項審査」って?(その3~審査項目③~)「経営状況に関する評点(Y)について」
「経営事項審査」って?(その3~審査項目④~)「技術力に関する評点(Z)について」

今回は経営事項審査のその他の審査項目(社会性等)(W)についてご説明させていただきます。

~その他の審査項目(社会性等)ってどんな項目なの?~
(1)その他の審査項目(社会性等)の概要
その他の審査項目(社会性等)(W)の評点は、建設業者さんが社会的な責任を果たしているかどうか?といったことを評価するものです。
評価項目は以下の8つに分かれており、それぞれ点数の合計点数に10を乗じ、さらに190/200を乗じた数値として求めます(令和5年8月14日以降の日を審査基準日とする申請の場合は175/200になります。)。
(W1)担い手の育成及び確保に関する取組の状況
(W2)建設業の営業継続の状況
(W3)防災協定締結の有無
(W4)法令遵守の状況
(W5)建設業の経理に関する状況
(W6)研究開発の状況
(W7)建設機械の保有状況
(W8)国際標準化機構が定めた規格による登録の状況

計算式は次のとおりになります。

その他の審査項目(社会性等)(W)
={担い手の育成及び確保に関する取組の状況(W1)+営業継続の状況の点数(W2)+防災協定締結有無の点数(W3)+法令遵守状況の点数(W4)+建設業経理状況の点数(W5)+研究開発状況の点数(W6)+建設機械の保有状況の点数(W7)+国際標準化機構が定めた規格による登録の状況の点数(W8)×10×190/200 (審査基準日令和5年8月14日以降の場合は175/200)

なお、 点数に小数点以下の端数がある場合は、これを切り捨てます。

(2)建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況(W1)について
建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況(W1)は、以下の①~⑩について以下の計算式により求めます。
① 雇用保険加入の有無
② 健康保険
③ 厚生年金保険加入の有無
④ 建設業退職金共済制度加入の有無
⑤ 退職一時金制度若しくは企業年金制度導入の有無
⑥ 法定外労働災害補償制度加入の有無
⑦ 若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
⑧ 知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
⑨ ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況
⑩ 技能労働者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況(令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請で適用)

①~⑥の合計=加点評価(y1)×15ー減点評価(y2)×40
加点評価(y1):以下の3項目のうち、加入又は導入をしているとされたものの数。
・建設業退職金共済制度への加入
・退職一時金制度又は企業年金制度の導入
・法定外労働災害補償制度への加入
減点評価(y2):以下の3項目のうち、加入をしていないとされたものの数
・雇用保険の未加入
・健康保険の未加入
・厚生年金保険の未加入

⑦は、「若齢技術職員の継続的な育成及び確保の状況」、「新規若齢技術職員の育成及び確保の状況」について以下の区分で評価します。
「若齢技術職員の継続的な育成及び確保の状況」
・技術職員名簿に記載された35歳未満の技術職員数が技術職員名簿全体の15%以上⇒1点加点
・技術職員名簿に記載された35歳未満の技術職員数が技術職員名簿全体の15%未満⇒加点なし

「新規若齢技術職員の育成及び確保の状況」
・新たに技術職員名簿に記載された35歳未満の技術職員数が技術職員名簿全体の1%以上⇒1点加点
・新たに技術職員名簿に記載された35歳未満の技術職員数が技術職員名簿全体の1%未満⇒加点なし

⑧は、「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」について、下記(a)と(b)を合算して算出される数値を、もとに算出します。
技術者に関する評価(a)=(技術者数/技術者数+技能者数)×(CPD単位取得数/技術者数)(※1)
技能者に関する評価(b)=(技能者数/技術者数+技能者数)×(技能レベル向上者数/技術者数-控除対象者数)(※1)

(※1)の数値は、計算結果を表に当てはめて求めます。単純な計算結果ではないので、注意が必要です。表については各行政庁の経審の手引きに掲載されていますので、そちらをご参照ください。

⑨は、ワーク・ライフ・バランスに関する取組について、審査基準日における各認定の取得をもって評価されます。点数については、取得している認定のうち、最も配点の高いものが評価されます。
ア)女性活躍推進法に基づく認定(プラチナえるぼし⇒5点、えるぼし(第3段階)⇒4点、えるぼし(第2段階)⇒3点、えるぼし(第1段階)⇒2点)
イ)次世代法に基づく認定(プラチナくるみん⇒5点、くるみん⇒3点、トライくるみん⇒3点)
ウ)若者雇用促進法に基づく認定(ユースエール⇒4点)

⑩は、技能労働者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況について、以下の区分のいずれかの場合に加点します。
・審査対象工事(※2)のうち、民間工事を含むすべての建設工事で該当措置(※3)を実施した場合⇒15点加点
・審査対象工事のうちすべての公共工事で該当措置を実施した場合⇒10点加点

(※2)審査対象工事:ア)~ウ)を除く審査基準日以前1年以内の発注者から直接請け負った建設工事
ア)日本国内以外の工事
イ)建設業法施行令で定める軽微な工事
ウ)災害応急工事
(※3)該当措置:エ)~カ)のすべてを実施している場合に加点
エ)CCUS上での現場・契約情報の登録
オ)建設工事に従事する者が直接入力によらない方法でCCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備
カ)経営事項審査申請時に様式第7号に掲げる誓約書の提出 (ただし、審査基準日以前1年のうちに、審査対象工事を1件も発注者から直接請け負っていない場合には加点しません。)

W1の項目はだいぶボリュームがありましたので、W2以降は次回以降でご説明させていただきます。

中居弘和行政書士事務所では、経営事項審査に関するご相談を承っております。
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