「帳簿の備え付け」について【前編】

投稿日:2024年2月19日 | 最終更新日:2024年5月13日

こんにちは。行政書士の中居弘和です。
今回は、建設業法で義務付けられている「帳簿の備え付け」についての【前編】です。
少し長くなりますので、2回に分けて説明します。

【目次】

1.備え付ける「帳簿」ってどんなもの?
2.「帳簿」にはどういった事項を記載するの?
3.「帳簿」には添付する書類とかはあるの?

1.備え付ける「帳簿」ってどんなもの?
建設業者が備え付けなければならない帳簿とは、一般的な「会計帳簿」のことではなく、建設業法第40条の3で定められている帳簿のことです。
建設工事請負契約に関する事項などの営業に関する事項を記載した帳簿のことで、営業所ごとに5年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあっては、10年間。)保存が義務付けられています。

建設業法
(帳簿の備付け等)
第四十条の三 建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。

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2.「帳簿」にはどういった事項を記載するの?
では、具体的にはどういった事項を記載したものが必要になるのかというと、下記の事項を記載する必要があります。
書面で作成するほか、電磁的記録によることも可能です。

(1)営業所の代表者の氏名及びその者が当該営業所の代表者となった年月日
(2)注文者と締結した建設工事の請負契約に関する次に掲げる事項
① 請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地
② 注文者と請負契約を締結した年月日
③ 注文者の商号、名称又は氏名及び住所並びに当該注文者が建設業者であるときは、その者の許可番号
④ 請け負った建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日
⑤ 工事目的物の引渡しをした年月日
(3)発注者(宅地建物取引業者を除く。)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する事項
① 当該住宅の床面積
② 建設瑕疵瑕疵負担割合
③ 住宅瑕疵瑕疵担保責任保険法人の名称(資力確保措置を保険により行った場合)
(4)下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する次に掲げる事項
① 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地
② 下請負人と下請契約を締結した年月日
③ 下請負人の商号又は名称及び住所並びに下請負人が建設業者であるときは、その者の許可番号
④ 下請負人に請け負わせた建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日
⑤ 下請工事の目的物の引渡しを受けた年月日
(5)特定建設業者が注文者となって資本金4000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結した場合は次の事項
① 支払った下請代金の額、支払った年月日及び支払手段
② 下請代金の全部又は一部の支払につき手形を交付したときは、その手形の金額、手形を交付した年月日及び手形の満期
③ 下請代金の一部を支払ったときは、その後の下請代金の残額
④ 遅延利息を支払ったときは、その遅延利息の額及び遅延利息を支払った年月日

といったようにたくさんの事項を記載していく必要があります。

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3.「帳簿」には添付する書類とかはあるの?
2.で挙げた事項を記載した帳簿には、下記の資料を添付する必要があります。
こちらの資料も、電磁的記録によることも可能です。

(1)契約書又はその写し
(2)特定建設業者が注文者となって資本金4000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結した場合は、下請負人に支払った下請代金の額、支払い年月日及び支払い手段を証明する書類(領収書等)又はその写し
(3)自社が、発注者から直接請け負った建設工事について、公共工事あっては下請契約を締結した場合、それ以外の建設工事あっては下請契約の総額が4500万円(建築一式工事の場合は7000万円。)以上となる場合は、工事完成後に施工体制台帳のうち次に掲げる事項が記載された部分を添付する。
① 自社が実際に工事現場に置いた主任技術者又は監理技術者の氏名と、その者が有する主任技術者資格又は監理技術者資格
② 自社が主任技術者又は監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名と、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
③ 下請負人(末端までの全業者を指します。)の商号又は名称及び許可番号
④ 下請負人に請け負わせた建設工事の内容及び後期
⑤ 下請負人が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名、その者の有する主任技術者資格
⑥ 下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名と、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格

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以上、「帳簿の備え付け」についての(前編)でした。

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