「経営事項審査」って?(その3~審査項目③~)
投稿日:2024年2月27日 | 最終更新日:2024年5月13日
こんにちは。行政書士の中居弘和です。
前回に引き続き経営事項審査についてご説明させていただきます。
今回は経営事項審査の審査項目の中の経営状況に関する評点(Y)についてご説明させていただきます。
~経営状況に関する評点(Y)ってどんな項目なの?~
(1)経営状況に関する評点(Y)の概要
経営規模(Y)は、経営状況分析の8つの指標(x1~x8)をもとに「経営状況点数(A)」の算式によって算出した点数を「経営状況の評点(Y)」の算式に当てはめて求めます。
経営状況の評点(Y)=167.3×A+583
経営状況点数(A)=-0.4650×x1-0.0508×x2+0.0264×x3+0.0277×x4+0.0011×x5+0.0089×x6+0.0818×x7+0.0172×x8+0.1906
(注) 小数点以下2位未満の端数があるときは、これを四捨五入します。
(2)経営状況分析の8つの指標(x1~x8)
経営状況分析の8つの指標(x1~x8)は以下のとおりになります。
①純支払利息比率(x1)
準支払利息比率は、準支払利息(実質的な利息負担額)が売上高に占める割合を示す指標のことです。
単純に考えると、この比率が高い=借入金が多い、というようになりますので、この数値が低い方がよい評価を得られます。
算出式は次のようになります。
準支払利息比率(x1)=(支払利息ー受取利息配当金/売上高×100)
②負債回転期間(x2)
負債回転期間は、期末における負債総額が月商の何ヵ月分になるかを示す指標のことです。
低いほど負債の支払能力あると考えられので、この数値が低い方がよい評価を得られます。
算出式は次のようになります。
負債回転期間(x2)=(流動負債+固定負債/売上高÷12)
③総資本売上総利益率(x3)
企業の調達した資本がどのくらい、売上総利益を獲得したかを示す指標のことです。
この指標の値が高いほど資本を効率よく運用していると考えられるので、この数値が高い方がよい評価を得られます。
算出式は次のようになります。
総資本売上総利益率(x3)=(売上総利益/総資本(2期平均)(※1)×100)
(※1)総資本を2期平均として、さらに、その平均の額が3000万円未満の場合は3000万円として計算します。
④売上高経常利益率(x4)
企業の経常的な活動において、得られた収入(売上高)からどれだけ効率的に利益をあげているかを示す指標のことです。
この指標の値が高いほど効率的に利益をあげていると考えられので、この数値が高い方がよい評価を得られます。
算出式は次のようになります。
売上高経常利益率(x4)=経常利益/売上高×100
⑤自己資本対固定資産比率(x5)
固定資産と自己資本の対応関係を示す指標のことです。
固定資産の取得資金が自己資本によって調達されている方がよいので、この比率は高い方がよい評価を得られます。
算出式は次のようになります。
自己資本対固定資産比率(x5)=自己資本/固定資産×100
⑥自己資本比率(x6)
自己資本が総資本に占める割合を示す指標のことです。
企業の運営は他人資本(負債)に頼らず自己資本で運営する方がよいので、この比率は高い方がよい評価を得られます。
算出式は次のようになります。
自己資本比率(x6)=自己資本/総資本×100
⑦営業キャッシュ・フロー(絶対額)(x7)
営業活動により獲得したキャッシュフローの大きさを1億円単位で示した指標のことです。
この指標は値が大きい方がよい評価が得られます。
算出式は次のようになります。
営業キャッシュ・フロー(x7)=営業キャッシュ・フロー(※2)/1億(2年平均)(※3)
(※2)営業キャッシュ・フロー=経常利益+減価償却実施額-法人税、住民税及び事業税±引当金(貸倒引当金)増減額±売掛債権(受取手形+完成工事未収入金)増減額±仕入債務(支払手形+工事未払金)増減額±棚卸資産(未成工事支出金+材料貯蔵品)増減額±受入金(未成工事受入金)増減額
(※3)営業キャッシュ・フローの額を1億で除した数値の2年平均となります。
⑧利益剰余金(絶対額)(x8)
会社内部に留保された利益剰余金の大きさを1億円単位で示した指標のことです。
利益剰余金とは、企業がこれまでに獲得した利益から配当等で社外流出した金額を差し引いたもので、この指標は値が大きい方がよい評価を得られます。
算出式は次のようになります。
利益剰余金(絶対額)(x8)=利益剰余金/1億
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