「経営事項審査」って?(その1~概要~)

投稿日:2024年2月21日 | 最終更新日:2024年5月13日

こんにちは。行政書士の中居弘和です。
今回からは「経営事項審査」についてご説明していきます。
かなりボリュームがありますので、複数回に分けてご説明させていただきます。

【目次】
1.「経営事項審査」とは?
2.「公共工事とは」?
3.経営事項審査の義務付けの対象となる「公共工事の範囲」とは?
4.経営事項審査の有効期間

1.「経営事項審査」とは?
経営事項審査は、公共工事への参加を希望する建設業者が、審査基準日(事業者の決算日)時点の自社の施工能力や経営状況等について客観的な指標で評価を受ける審査のことです。
公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業許可業者が必ず受けなければいけません。
なお、建設業法第27条の23では下記のように定められています。

建設業法
第27条の23
公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。

2.「公共工事」とは?
経営事項審査は公共工事への参加を希望する建設業者が受ける審査とご説明させていただきましたが、そもそも「公共工事」とはどういったものなのでしょうか?
「公共工事」とは公共性のある施設又は工作物に関する建設工事のことで、具体的なものについては建設業法施行令第15条で次のように定められています。

建設業法施行令
(公共性のある施設又は工作物)
第十五条 法第二十五条の十一第二号の公共性のある施設又は工作物で政令で定めるものは、次の各号に掲げるものとする。
一 鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道
二 消防施設、水防施設、学校又は国若しくは地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所若しくは試験所
三 電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設をいう。)又はガス事業用施設(ガス事業の用に供するガスの製造又は供給のための施設をいう。)
四 前各号に掲げるもののほか、紛争により当該施設又は工作物に関する工事の工期が遅延することその他適正な施工が妨げられることによつて公共の福祉に著しい障害を及ぼすおそれのある施設又は工作物で国土交通大臣が指定するもの

3.経営事項審査の義務付けの対象となる「公共工事の範囲」とは?
経営事項審査の義務付けの対象となる公共工事の範囲は、国、地方公共団体、法人税法別表第1の公共法人及び特殊法人(一部を除きます。)が発注者である施設又は工作物に関する建設工事になります。
ただし、軽微な建設工事(①建築一式工事:工事1件の請負代金の額が1,500万円(消費税を含む)未満の工事又は延べ面積が150㎡未満の木造住宅(主要構造部が木造で、延面積の1/2 以上を居住の用に供するもの)の工事、②その他の工事:工事1件の請負代金の額が500万円(消費税を含む)未満の工事)や、物理的・経済的に影響の大きい災害等により必要を生じた応急の建設工事については、義務付けの対象外となります。
なお、通常の災害復旧工事は、義務付けの対象となります。

建設業法施行令
(公共性のある施設又は工作物に関する建設工事)
第四十五条 法第二十七条の二十三第一項の政令で定める建設工事は、国、地方公共団体、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く。)又はこれらに準ずるものとして国土交通省令で定める法人が発注者であり、かつ、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)以上のものであつて、次に掲げる建設工事以外のものとする。
一 堤防の欠壊、道路の埋没、電気設備の故障その他施設又は工作物の破壊、埋没等で、これを放置するときは、著しい被害を生ずるおそれのあるものによつて必要を生じた応急の建設工事
二 前号に掲げるもののほか、経営事項審査を受けていない建設業者が発注者から直接請け負うことについて緊急の必要その他やむを得ない事情があるものとして国土交通大臣が指定する建設工事

4.経営事項審査の有効期間
公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、その建設工事について発注者と請負契約を締結する日の「1年7か月前の日」の直後の営業年度の終了の日以降に経営事項審査を受けていなければいけません。
経営事項審査の有効期間は審査基準日から1年7か月間ということができ、経営事項審査結果通知書の受領日から有効期間満了日までが「公共工事の請負契約を締結できる期間」となります。
また、経営事項審査の申請が遅れた場合、その分結果通知書の交付が遅れてしまい、「公共工事の請負契約を締結できる期間」が途切れてしまうことがあります。
毎年公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、この期間が途切れないように、毎事業年度終了後、決算関係書類が整い次第速やかに経営事項審査の申請をする必要があります。
以下の図は経営事項審査の有効期間のイメージ図です。

業務が忙しいなどの理由で決算変更届の作成が滞ってしまうと、経営事項審査の受審が遅れてしまい、有効期間が途切れてしまうといった事態が起こりかねませんので注意が必要です。

中居弘和行政書士事務所では、経営事項審査に関するご相談を承っております。
岩手・盛岡で経営事項審査の受審を考えている方で、お困りごとやちょっとした疑問点などございましたら、お気軽にご相談ください。
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